たまにニコニコ動画などで「ボカロは楽器」というコメントを見かけますが、私はどうしてもこの意見に違和感を覚えます。「ボカロはボカロであって、楽器でも、人間に取って代わる存在でもない。」というのが私の考えです。

 ボカロと楽器の違いは「主役になれるかどうか」にあると思います。楽器は主役にはなり得ません。このように書くと「たとえばピアノのソロコンサートではピアノが主役なんじゃないの?」と思わるかもしれませんが、この場合の主役はピアニストであってピアノではありません。もし有名ピアニストと全く同じ演奏ができる自動演奏ピアノがあったとして、このピアノのコンサートを開いたら、一体どのくらいの人がお金を払って見に行くでしょうか? 楽器は主役になり得ないとはそういう意味です。
 一方ボカロは主役になり得ます。ボカロコンサートの主役はまさにボカロですし、ボカロ動画の主役もボカロであって、作曲者や絵師ではありません。人間は、どれだけ有名で才能ある人であっても、あくまで裏方なのです。
 「楽器」を辞書で調べると「音楽を演奏するために用いる器具。(広辞苑)」とあります。この意味においてはボカロはまさに楽器です。ですがこれまで述べたように、他の楽器とは明らかに一線を画す部分があります。ボカロは最近になって登場した新しい存在です。それを無理矢理既存の概念に当て嵌める必要はないと思います。それゆえ私は「ボカロはボカロであって、楽器でも、人間に取って代わる存在でもない。」と思うのです。